「AIなんて大したことない」と言う経営者と、「AIなしでは仕事にならない」と言う経営者。
同じ2026年を生きているのに、見えている景色がまったく違う。最近、その理由を明確に言語化してくれた人物がいます。
Andrej Karpathy。OpenAIの共同創業者であり、TeslaでAI部門のトップを務めた人物です。現在のAIの基盤を実際に作った側の人間が、業界の現状について非常に示唆的な指摘をしています。
無料版と最前線で、見えている世界が違う
Karpathyが最初に指摘しているのは、AIに対する「認識の分裂」です。
無料版のChatGPTを少し触って、「ハルシネーション(もっともらしいウソ)だらけで使えない」と判断した人がいる。一方で、最新のフロンティアモデルに課金して、毎日コーディングやリサーチに使い倒している人がいる。前者はAIを「おもちゃ」だと思っている。後者は「別次元のツール」として業務に組み込んでいる。
同じ「AI」という言葉を使っていながら、まったく別の現実を見ている。この認識ギャップが、今の業界で最も危険な分断だと自分も感じています。
自分の周りでも、この分断はリアルに存在しています。「ChatGPTに聞いてみたけど微妙だった」という経営者と、最前線のモデルを業務フローに深く組み込んでいる企業との差は、時間が経つほど取り返しがつかなくなる。AIの実力を正しく把握するには、無料版の印象で判断するのではなく、最前線のモデルを自分の手で使ってみるしかありません。
OSの歴史が、AIの未来を教えてくれる
Karpathyのもう一つの指摘は、AIの世界で起きている分裂が、かつてOSの世界で起きたことと同じ構造だという点です。
WindowsやmacOSは、強力で洗練されたクローズドなシステムとして発展しました。一方で、LinuxやAndroidは、オープンソースとして誰でも使える形で独自の巨大なエコシステムを築いた。結果としてどうなったか。Windowsはデスクトップ、Linuxはサーバーやクラウド。両方が生き残り、それぞれ別の市場で支配的なポジションを取りました。
AIでも同じ構図が見え始めています。OpenAIやAnthropicのようなクローズドモデルと、MetaのLlamaのようなオープンソースモデル。この二つが、まったく別の道を歩み始めている。
クローズドとオープンソース、棲み分けの行方
OSの歴史をそのまま当てはめるなら、こういう未来が見えてきます。クローズドなAIモデルは、ChatGPTやClaude Proのように、誰でも直感的に使えるコンシューマー向け製品として定着する。一方、オープンソースモデルは、企業が自社のインフラに組み込んで独自にカスタマイズするエンタープライズ向けの基盤として広がっていく。
自分は以前から、オープンソースのLLMがエンタープライズ市場で主流になると見ていました。データを外部に出したくない企業、独自の業務フローに合わせてモデルを微調整したい企業にとって、オープンソースは唯一の選択肢だからです。Karpathyの「OSとの相似形」という整理は、この見立てを裏付けるものだと感じています。
経営判断を誤らないために
Karpathyの指摘で最も怖いのは、「認識の分裂」が経営判断に直結するという点です。
無料版のAIしか触ったことがない経営者が「うちにAIはまだ早い」と判断する。その間に、フロンティアモデルを使いこなしている競合は、業務効率を圧倒的に上げている。この差は、半年、一年と経つうちに可視化されます。そして気づいた頃には追いつけない距離になっている。
FIRST MADEが提供しているFIRST INTELLIGENCEは、まさにこのギャップを埋めるためのサービスです。最前線のAIモデルを、クライアントの業務に直接組み込む。「AIを試しに触ってみた」のレベルではなく、「AIが業務の中で毎日動いている」状態を作る。フロンティアモデルの実力を、中小企業の現場で実感してもらう。それが自分たちの仕事です。
Karpathyが言うように、AIの世界は今まさに二つに割れている。自分たちは、その「最前線側」にクライアントを連れていく存在でありたいと考えています。

