「言葉自体は聞いたことがあっても、しっかりと意味は説明できない…」そんな人も多いのではないでしょうか。
この記事では、ユーザーエクスペリエンスとは何か、ビジネスに活かされる事例とともにご紹介します。
ユーザーエクスペリエンスとは
ユーザーエクスペリエンスとは、製品やサービスを使用することで得られるユーザー体験の総称です。
ただ単に使いやすい、わかりやすいだけでなく、ユーザーの行動を導き、ユーザーがやりたいことを「楽しく・心地よく」実現することを目指した概念。
正式には「User Experience」と表記しますが、「UX」と略して表記されることが多く、数年前から特にWeb業界で重要なキーワードとなっています。
ユーザビリティとの違い
ユーザビリティとは、簡単に説明すると「使いやすさ」という意味です。(ユーザビリティに関しては細かく国際基準で定められていますが、ここでは割愛します)
サービスや製品が、ユーザーにとって使いやすい状態を「ユーザビリティが良い」逆に使いづらいと「ユーザビリティが悪い」などと表現します。
ユーザビリティが単純に使いやすさだけを追求するのに対して、UXは使いやすさを実現することでユーザーが得られる心地よさを追求します。
なぜ今ユーザーエクスペリエンスが重要視されるのか
Web業界を例に挙げると、フィーチャーフォン(ガラケー)からの過渡期には、ただスマホに対応しているだけでサービスとして優位に立てる時期がありました。
その後Webへアクセスするためのデバイスはスマホからが当たり前になり、スマホに対応した「だけ」のサービス、スマホで使いやすい「だけ」のサービスでは他社との競争に勝てません。
そこで、ビジュアルとユーザビリティの面でサービスの利便性を実現するUIデザインはもちろん、サービス全体の設計を通してより良いユーザー体験を実現する「ユーザーエクスペリエンス」が重要視されています。
ユーザーエクスペリエンスの導入例
スターバックス
アメリカのスターバックス会長兼社長兼CEOのハワード・シュルツさんが、「スターバックスはコーヒーを売っているのではない。体験を売っているのだ」と発言したことはいろんな本にも掲載されており有名です。
スタバは、店舗を「ザ・サードプレイス(第三の場所)」と位置づけ、日常で手に入れることができる少しリッチな時間を提供することを掲げています。
これまでのカフェやコーヒーショップでは、店員さんにレジでお金を渡して、トレーに載ったコーヒーを受け取るといった流れが一般的でした。
スタバはその常識を壊し、「バリスタ」と呼ばれるコーヒーの専門家が商品を提供することにこだわっています。カウンターで待つ間にコーヒーが注がれる様子を見ることで、自分のもとに商品が届けられるまでの楽しみを演出。
おしゃれな店内はコーヒーをゆっくり楽しめるようインテリアが設計され、コーヒーの提供から実際に味わい、店を出るまでの体験作りを店舗全体で実現しています。
UXデザイナーの仕事内容
UXデザインを専門に行うデザイナーを文字通り「UXデザイナー」と呼びます。
比較的新しい職種のため、UXデザイナーの仕事内容がどんなものか想像がつきにくいかもしれないので、業務内容の一例を以下にご紹介します。
「UXデザイナー」という言葉から、絵が描けないといけないのでは?デザインができないといけないのでは?と思われがちですが実は違います。
業務内容の一例を見てもわかるように、マーケティングやアクセス解析、SEOなどサイトの情報設計の仕事が大半です。
売り上げ達成も含め、サービス全体の設計を通してより良いユーザー体験を実現するのがUXデザイナーの仕事です。
たとえデザインの経験がなくても、UXデザイナーになるチャンスがあるとも言えます。
UIデザイナーとの違い
スマホ向けゲームアプリを例に、UIデザイナーとUXデザイナーの違いをご説明します。
UIデザイナーはアプリ内に表示される操作ボタン、キャラクターのパラメーターをどのように1つの画面内に収めるかなど、ゲームをプレイするために必要なモノの視覚的な情報をデザインします。
対してUXデザイナーは、そもそもどんな時にゲームをやりたくなるのか、売り上げが伸び悩んだ時に、どのようにユーザーを楽しませることができれば課金につながるのか、サービスの解析やマーケティングなどの上流設計をします。
UIデザイナーはユーザーの目に見える全般をデザインするのに対し、UXデザイナーはユーザーの目に見えない情報をデザインするのが仕事です。
まとめ
ユーザーエクスペリエンスとは何か、ビジネスへの活用事例や、UXデザイナーの仕事内容などご紹介しました。
少し前まではWEB制作会社の求人にも無かったUXデザイナー。都心部では最近よく見かけます。そしてこれからUXデザイナーの求人は間違いなく増えていく傾向にあります。
ユーザーエクスペリエンスを実現する仕事について興味を持った方はチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
それにしてもWEB業界はトレンドや求められる技術の移り変わりが早い分、しっかりと時代を見据えて動くってことが大事だなぁと改めて実感。