最近、海外のニュースや、毎週届くメルマガを読んでいると、目に入るのはAIの話題ばかりです。
新しい仕組みが登場した、どこかの会社が何兆円を集めた、と。
そういう派手な見出しの裏で、もっと静かに、けれど確かに進んでいる変化のほうに、自分はこのところ心を引かれています。
今日は、先週そんなふうに立ち止まって考えた話を書いてみます。
考えさせられる言葉
世界でも指折りのIT企業を率いるサティア・ナデラさんが、AI時代に会社が生き残る鍵について書いた一文です。
そこには、こうありました。大事なのは、いちばん優秀なAIを選ぶことではない、と。

本当に大切なのは、自社の知識を、AIと一緒に育てつづける仕組みを持つことだ、という話でした。
彼は、二つの資本という言い方をしていました。
ひとつは、人が時間をかけて培ってきた判断力や勘、人と人とのつながり。
もうひとつは、その会社が自分のものとして築いていくAIの力。
面白いのは、その先の見立てです。
AIが賢くなるほど人の値打ちは下がる、と思われがちですが、彼の考えは逆でした。
AIという土台が厚くなるほど、それを正しい方へ導く人の役割は、むしろ重くなっていく、と。
道具がいくら賢くなっても、何のために使うのか、どこへ向かうのかを決めるのは、やはり人です。
むしろこれからは、問いを立てる力や、人と人をつなぐ力といった、数字にしにくいものこそが、その人の値打ちになっていくのだろうと思います。
積み重ねは、奪えない
この二つの話は、自分のなかでひとつにつながりました。
道具としての便利さは、もう誰の手にも届く。
だとすれば、会社にとって本当に残る財産は、道具そのものではなく、その道具と一緒に重ねてきた時間のほうにあるのではないか、と。

自分の会社でも、このところAIと机を並べるようにして仕事をしています。
毎日のやり取りのなかで、うちらしい言葉の選び方や、判断のクセ、お客さまとのちょうどいい間合いのようなものが、少しずつAIの側にも溜まっていきます。
それは、よそから買ってくることも、そっくり真似ることもできません。
その会社が、その場所で、その人たちと過ごした時間の分だけしか、積み上がらないからです。
長い年月をかけて手の感覚を身体に刻んでいく、職人さんの仕事と、どこか似ている気がしています。
たいそうな仕組みの話ではありません。
今日うまくいったこと、お客さまの一言ではっとしたこと、やってみて思っていたのと違ったこと。
そうした小さな気づきを、その日のうちに言葉にして残しておく。
それを、人とAIの両方が覚えていく。
そんな地味な繰り返しの先にしか、よそには真似のできない、その会社だけの知恵は育たないのだと思います。
この町の、小さな会社へ
こうして考えていくと、地方の小さな会社こそ、AIと相性がいいのではないか、と自分は思うのです。

便利な道具は、東京の大きな会社だろうと、地方の小さな会社だろうと、同じものが同じ値段で手に入る時代になりました。
差がつくのは、その道具を使いながら、何を学び、何を残していくか。
そこだけは、その会社にしか決められません。
派手な見出しを横目に、自分は今日も、目の前の一人ひとりと、そしてAIと、地味な積み重ねを続けています。
溶けていくものの多い時代だからこそ、溶けないものを、ゆっくり育てていきたいと思っています。
この記事を書いた人

- 代表取締役
- 株式会社FIRST MADE代表取締役。
Webブランディング10年を経て、2026年に中小企業向けAIエージェント事業「FIRST INTELLIGENCE」を立ち上げ。
自社でも15名のAIエージェントを日々の業務に運用し、実体験に基づくAI導入支援を行っています。
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