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『はじまりへの旅』~I Shall Be Released~

Written by Takashi Yamanaka

年末時間があったのでNetflixで映画を見てみました。

その中で何本が見た映画の中でも、ど真ん中!というくらい個人的にヒットしたのが、現代を生きるヒッピーに焦点を当てた「CAPTAIN FANTASTIC」という映画。

コメディのようなユーモアのある題材を取り上げていながらも、「普通とはなにか」、「自分らしさとはなにか」といった誰もが抱えている普遍的な問いを観るものに問いかけられます。

家族について、教育について、価値観について、個性についてたくさん考えさせられる映画です。

※以下ネタバレ注意ですので、興味がある方は一度見てみてから戻ってきてください。

理想主義の敗北が意味する理想

本作は欠点の少ない完成された映画というよりも、印象深いシーンを数多く有する映画と言えます。

『はじまりへの旅』というポジティヴな邦題や、ウェス・アンダーソン作品を彷彿とさせる独特のルックスから「ちょっと不思議なロードムービー」として宣伝されるだろうが、その正体とは実験的理想生活の夢と挫折であり、「心温まる」結末の裏側には苦くて辛い敗北がはっきりと描かれることになる。

まるで60年代のヒッピーが現代にタイムスリップしてきたかのようなこの設定がなんとも◎

理想の敗北後にある現実

本作のストーリーは旧約聖書で言うところの「楽園からの追放」。

母親が死に彼女の意思に反してキリスト教に則った葬式が執り行われると知った家族が、遺言に忠実に彼女を仏式に火葬し、その遺灰を便所に流すことを決意することになる。

そのためには住み慣れた楽園から離れなければならない。しかし楽園の外には様々な誘惑で溢れていて、住み慣れた楽園とは全く違うルールで支配されている。そしてそれら楽園になかった事象すべては「悪」として教わり育っている子供たち。

しかし彼らの理想世界はひとつの家族という単位でしかなく、どこかの段階で理想の外側の世界を知る必要があった。そのきっかけは恋かもしれないし、好奇心かもしれないが、いつか必ず理想世界が敵対視する世界を体験しなければならなかった。そして彼らは成長することで、自分たちを特別な存在と自認する所以となっている高い知性や教養とは、自分たちが暮らす理想の世界に属するのではなく、忌み嫌う外の世界あから生み出されたものだという自己矛盾に気がつくことになる。

6カ国語を話し文学から哲学まで幅広い知識を持っていながらも「自分は何も知らない」と気がつくのは当然の結末だった。そしてその当たり前に最後まで気がつけないのは、理想の世界の生みの親でもあり、家族のなかで唯一外の世界を知る父親でした。

幸せとは?家族とは?を監督の視点で大胆に描いたヒッピー色全開の作品でした。

ただ一点、スーパーマーケットで盗みを働きくところだけは、正直いただけませんでした。(子供に万引のミッションを課してるわけですからね)あのシーンさえなければ本当にこんな家族があってもいいな。とさえ思いました。

またBGMに使われる曲のセンスも当然のことながら素晴らしく、ガンズ・アンド・ローゼスの「スウィート・チャイルド・オブ・マイン」やエンディングのボブ・ディランなど、ぐっとくる選曲をチョイスしているところなども、僕の中ではとても評価高かったです。

 

「人民に力を権力にNoを」

特にこのフレーズは映画の中でも印象的な言葉でした。

それでは僕も大好きなボブ・ディランが原曲のこの曲で。

 

“I Shall Be Released”
Kirk Ross

※タップ(クリック)すると曲が流れます。

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