波打ち際に、足跡がひとつ。
サンダルを脱ぎ捨てて、肌にまとわりつく白砂の感触を楽しみながら、ふと空を見上げる。オレンジ色に染まる夕暮れの空。
ここは中米ホンジュラスの離島、ロアタン島。旅人にとってまだ“観光地”のラベルが強く貼られていない、静かなエメラルドの隠れ家です。
ロサンゼルスを経由してこの島に到着してから数日。海の匂いと、南米独特の人懐っこさに包まれて、だいぶ身体がこのリズムに慣れてきました。
今回はその中でも、スキューバダイビングとシュノーケリングを中心とした一日を綴っていきます。
ダイビングの朝は早い。ホテルのバルコニーからまだ薄明かりの空を眺めながら、珈琲を一口。ほどよい緊張感を連れて、船に乗り込んだ頃には、太陽がゆっくりと海面から顔を出し、波に反射して煌めいていました。
このロアタン島の海は、実は世界的にも知られるサンゴ礁の楽園。ベリーズから伸びる「メソアメリカン・バリア・リーフ」は世界第2位の規模。潜ってすぐに、納得しました。
見下ろすと、まるで水中都市。カラフルな魚たちが交差し、サンゴが波のように連なっている。
見事なまでに調和のとれた自然の構造美。何千年もかけて作られたこの景色の中に、自分の身体がぽつりと浮かんでいる感覚。胸の奥がぎゅっと掴まれたような、不思議な感動でした。
シュノーケリングではもっと浅い場所に移動し、海面のすぐ下を漂いました。水中で目が合った小さなフグにちょっとだけ微笑んでしまう。そんな瞬間の連続が、なぜか心を軽くしてくれます。
ただ、天気は一筋縄ではいきませんでした。午後、船の上で突然のスコール。南国の雨はまるでシャワーのように激しく、波が立ち、空がかき曇っていきます。
でも、誰も慌てない。それがこの島のテンポ。スタッフの笑顔に安心して、レインジャケットを借りて、雨音に包まれるその瞬間もまた、旅の一部になっていくのです。
日が傾きはじめる頃、港に戻ると、空腹がどっと押し寄せてきました。夕食には島名物のロブスター、そしてキングクラブ。
炭火でグリルされたそれは、海の香りと香ばしさが口いっぱいに広がります。そして赤身のしっかりとした牛肉ステーキ。
旅の夜にはもう一つ、大切なイベントが待っていました。「White Night」と名付けられた、白い服限定のナイトパーティー。日本チームでドレスコードをしっかり守って参加しました。
ビーチサイドにはライトアップされたヤシの木と、DJの心地よい音楽。足元は砂、頭上には星。異国の人々と肩を並べて笑い合う、この非日常的な空間の中で、国境がスッと溶けていくようでした。
特にメキシコの方々との交流は印象深いものになりました。流れるスペイン語、笑顔で交わすハグ、差し出されたテキーラ。最初は控えめにと思っていたのに、気づけば何杯も…(笑)。言葉は完璧ではなくとも、気持ちは十分に通じ合う。乾杯のグラスが、その証拠でした。
こうして、波の音に包まれながら過ごした夜は、昼間の海と同じくらい、深く心に残る時間でした。
旅はただの移動ではありません。体験と感情の交差点です。ロアタン島でのこの数日は、仕事や日常で凝り固まった感性をほどいてくれる、かけがえのない“再起動”の時間だったように思います。
ロアタン島での滞在も、終盤に差しかかろうとしていた頃、青年会議所(JCI)によるGALAパーティーが開かれました。日が落ち、穏やかな潮風が肌を撫でるころ、会場となったリゾートの中庭には、世界各国から集まった仲間たちが、それぞれの想いを胸にドレスアップして姿を見せはじめました。
自分自身も日本代表の一員として、仲間とともにブラックスーツに袖を通し、この特別な夜に臨みました。昼間のカリブ海の開放感とはまた違った、引き締まった空気が会場を包み、シャンデリアの光が皆の表情を柔らかく照らします。
壇上では各国の代表たちがスピーチを行い、それぞれの国での活動、連携、そして未来への展望を語り合いました。英語、スペイン語、ポルトガル語——言語は違えど、胸に響くものは共通していて、人と人がつながることの美しさを再確認する瞬間でもありました。
会の後半には音楽とともにダンスが始まり、そこには国境も肩書きも年齢も存在しませんでした。会話は笑顔に、握手は抱擁へと変わり、そこにいた全員が、今という時間を真っすぐに楽しんでいたように感じられました。
日付が変わる頃、夜空には無数の星が瞬いていて、まるでこの小さな地球の片隅で交わされた友情の灯りに祝福を送っているかのようでした。自分にとって、このGALAパーティーは、ロアタン島での体験の集大成であり、同時に世界に向けて心をひらく扉でもあったのだと、静かに確信する夜となりました。
この記事を書いた人

- 代表取締役
- 1985.11.09 滋賀⇄東京⇄滋賀
最近気になるのはChatGPT OpenAi関連… 生成Aiにはどう頑張っても勝てないのでもう考えることを辞めましたw
▪趣味:旅行 ギター 読書 キャンプ 釣りとか…
9年前に始めたBLOGも750記事を超えました。
最新の投稿
TRIP2025-06-06山を越えて心を結ぶ 〜ホンジュラス本土、友情と文化の旅路〜
想うこと2025-05-28珊瑚が息づく場所へ、朝の静けさとともにホンジュラス・ロアタン島
TRIP2025-05-23夕陽から始まる世界一周 〜ロアタン島、静かな出発点〜
TRIP2025-05-19この街に鼓動を重ねて〜ベニスとサンダルマンと、出発のリズム〜