2025年5月。世界をめぐる長い旅の第一歩として、ロサンゼルスの地に足を下ろしました。
ホンジュラスへと向かう途中で立ち寄ったカリフォルニア。自分にとってこの土地は、ただの経由地ではなく、青春の扉を開いた場所であり、記憶と夢が交差する「再会」の地でもあります。
朝から曇りがちな空の下、ベニスビーチへ向かう道すがら、潮の香りが風にのって漂ってきました。海の音とともに聞こえるスケートボードのゴリッという音。
それは20代の自分が夢中になった映画『LORDS OF DOGTOWN』のワンシーンを、そのまま現実に呼び戻すものでした。
かつてスクリーンの中で躍動していたトニー・アルバやジェイ・アダムスの存在が、この街の空気そのものに染み込んでいるように感じます。
宿泊したホテルのロビーには、まさかの彼らのサイン入りの写真と、往年のZ-FLEXのデッキが飾られており、不意に胸が熱くなりました。
ここに、戻ってこられたんだなと、ただそれだけの事実が、静かに自分の心を満たしていきました。
ベニスの夜に灯る、懐かしきネオンサインと色の記憶
夜になると、ベニスのアイコンともいえる「VENICE」サインが、静かに輝き出します。
↑2024.12.25
前回訪れた際はクリスマスシーズンだったため、グリーンとレッドの配色でしたが、今回はクラシカルなホワイトの光が、アーチ状の文字を縁取っていました。
↑2025.5.2
ほんの少しの色の違いが、まるで「季節」の存在を語ってくれるようです。
道ゆく人々、路上のパフォーマー、海風に揺れるヤシの木。すべてが音楽のようであり、そこには言葉にできないリズムがあります。
旅というものは、いつも景色の中に「感情の原風景」を見せてくれる。それを噛みしめながら、夜のベニスを歩き続けました。
ソールは人生の足跡。サンダルマンで、またひとつの修理を
今回、ロサンゼルスに来たひとつの目的。それは、愛用しているサンダルのソールを直してもらうことでした。向かったのは、地元の人々に愛され続けている「THE SANDALMAN」。1976年創業という歴史ある工房です。
頑固な職人というイメージとは裏腹に、笑顔で迎えてくれたオーナーとの再会。互いにシャカサインを交わして写真を撮る時間すら、心地よいリズムを刻んでいました。
このサンダルを履いて、また新しい旅へ出かける。そこに「道」がある限り、ソールの修理は終わりではなく、むしろ新たな出発点なのだと実感いたしました。
10年選手のサンダル。何度もソール交換を繰り返し履き続けています。
アメリカまでソールの修理に来るなんて、こだわりすぎでしょと、どこからか笑い声が聞こえてきそうですが、こうした“旅の中の旅”こそが、自分にとっての最高の贅沢なのです。
伝説の手仕事に触れた、ヴィンテージの聖域へ
ベニスからほど近い場所にある、小さなヴィンテージショップ。ここで出会ったのは、HTC(ハリウッド・トレーディング・カンパニー)の創設者であるZip氏が手掛けた、圧巻のヴィンテージアイテムたちでした。
店内に一歩入ると、そこには70年代のアメリカ西海岸カルチャーが凝縮されたような空間が広がっており、心の奥底から湧き上がる熱を感じました。
レザージャケットに打たれたスタッズ、使い込まれたエンジニアブーツ、そして一つひとつ異なる表情を持つベルトの数々。これらは単なる古着ではなく、“語るモノ”たちであり、そこには「時間」が刻まれているようでした。
Zip氏がつくり出した世界観に触れながら、ふと、自分のクリエイティブな原点に立ち返る時間となったことは間違いありません。
ロサンゼルスという再起動。旅のプロローグとして
世界一周という長い旅路。そのプロローグを飾るには、ロサンゼルスという場所はあまりにもふさわしすぎました。風、音、人、モノ。そのすべてが、感性を揺さぶってくれるのです。
ベニスビーチのざわめきと、宿の静寂のコントラスト。修理されたサンダルと、70年代の香り漂うレザージャケット。それらすべてが、この旅を始めてよかったと、強く背中を押してくれました。
この先、訪れる国々でどんな出会いがあるのか。どんな風に自分の中のクリエイションが育っていくのか。そんな期待を胸に、レンタカーのガソリンを満タンにし、ロサンゼルスを後にしました。
次回はホンジュラスへ上陸。
お楽しみに。
この記事を書いた人

- 代表取締役
- 1985.11.09 滋賀⇄東京⇄滋賀
最近気になるのはChatGPT OpenAi関連… 生成Aiにはどう頑張っても勝てないのでもう考えることを辞めましたw
▪趣味:旅行 ギター 読書 キャンプ 釣りとか…
9年前に始めたBLOGも750記事を超えました。
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