記憶の重さを抱いて歩くNY 〜祈りの塔の静けさと〜

2025.11.04

トルコのアンタルヤを後にして向かった先はニューヨーク。

ニューヨークに到着したのは、深夜でした。

そのまま地下鉄に乗り込みました。

鉄の香り、冷たい手すり、車輪のきしむ音。街の鼓動が足元からじわじわと伝わってくるようでした。

乗客はさまざまで、スーツ姿のビジネスマン、パンクファッションの若者、ショッピング帰りの女性など、多様な文化がこの車両の中で息づいていました。

向かった先は、まずはタイムズスクエア。

地上へ出た瞬間、目に飛び込んできたのは、圧倒的な光の洪水でした。

巨大なデジタルサイネージがビルを覆い尽くし、広告、映像、メッセージが四方八方から押し寄せてきます。

スクリーンの中の人物がまるで現実に存在しているかのような臨場感で、足を止めて見上げてしまいました。街角には音楽が流れ、ダンサーたちがリズムを刻み、スマートフォンのシャッター音がそこかしこで鳴っていました。

その場に立っているだけで、世界の真ん中にいるような錯覚さえ覚えます。

少し歩いたところで、24時間営業のカフェに立ち寄りました。

カップを手にしながら街角に佇み、熱いコーヒーの湯気がネオンに溶けていく様子を見つめていました。

旅の高揚感と静寂が交錯する、そんなひとときでした。

朝の街角で出会った、“肉と記憶”のニューヨーク

翌朝は、不思議と早く目が覚めました。

昨夜の光と熱を引きずるように身支度を整え、目指したのは老舗のデリ「Katz’s Delicatessen(カッツ・デリカテッセン)」です。

1888年創業、名作映画『恋人たちの予感』にも登場したこの店は、パストラミサンドの聖地とも言われています。

ロウワー・イーストサイドを歩いていくと、周囲の高層ビル群とは異なる古い建物の並びに出会いました。その一角、赤いネオンが輝くKatz’sの看板が見えてきます。

店内に入ると、広々とした空間に、順番を待つ人の列ができていました。厨房からはスモーキーな香りが立ち上り、ナイフのリズム良い音が響きます。注文したのはもちろん、名物のパストラミサンドと大きなピクルス。

厚切りの肉がこれでもかと詰まったサンドイッチ。

パンの間に収まっていないほどの量で、マスタードとの相性も抜群です。

一口頬張るごとに、スモークの香ばしさと肉の旨味が口の中に広がり、旅先で味わう喜びを改めて実感させてくれました。

食べるという行為が、ただの空腹を満たすだけでなく、「この街に来た」という記憶そのものになる。そんな朝でした。

ワールドトレードセンターで、静かな祈りと再生を感じる

朝食の余韻を引きずりながら、次に向かったのはワールドトレードセンター跡地(グラウンド・ゼロ)でした。

ここは、自分の中でも特別な場所。2001年の同時多発テロを学生時代にニュースで見たときの衝撃は、今も鮮明に残っています。

目に入る映像は映画のワンシーンみたいでとても信じられなかったのをはっきりと覚えています。

だって飛行機があんな高いビルに突っ込むなんて映画以外に想像もつきませんでした。

現地に着くと、空気の温度が変わったような感覚に包まれました。

街の喧騒から切り離されたような静寂の中、深く掘られた四角いメモリアルプールが、かつてのツインタワーの場所に静かに佇んでいました。

そのプールの縁には、犠牲者の名前がひとつひとつ刻まれています。

いくつかの名前の隣には、白い花が手向けられており、誰かの想いがそこに宿っているのが伝わってきました。

簡単に言葉で説明できるものではありませんが、現地に立って、ただ静かに受け止めることで、少しずつ何かが心に染み込んでいくように感じます。

そびえ立つOne World Trade Centerの姿には、悲しみを越えて未来へ向かう力が宿っているようでした。

傷を抱えながらも、再び立ち上がり、前を向く意思。

それが、この都市の強さなのかもしれません。

ニューヨークという都市は、ただ賑やかなだけではありません。

その奥底には、痛みと、想いと、確かな希望が存在しています。

次回は、セントラルパークの緑の中を自転車で駆け抜け、ジョン・レノンの足跡をたどりながら「イマジン」の世界に浸る、もうひとつのニューヨークの顔をお届けします。

この記事を書いた人

TAKASHI YAMANAKA
TAKASHI YAMANAKA代表取締役
1985.11.09 滋賀⇄東京⇄滋賀
最近気になるのはChatGPT OpenAi関連… 生成Aiにはどう頑張っても勝てないのでもう考えることを辞めましたw
▪趣味:旅行 ギター 読書 キャンプ 釣りとか…
9年前に始めたBLOGも750記事を超えました。
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TAKASHI YAMANAKA

CEO

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