デンマークでの濃密な時間を終え、モンゴルへのフライトまでの少しの間。経由地として選んだのがドイツ・フランクフルトでした。
ただのトランジットになる予定だったんですが、いざ降り立ってみると、この街は想像以上に奥行きがあって、豊かで、そしておいしい。結果、ここでの3日間は、旅のハイライトの一つになりました。
朝のスタートは、中央市場「クラインマルクトハレ」から
朝のフランクフルトは、空気がきりっと澄んでいて、どこか背筋が伸びるような雰囲気があります。そんな朝、まず向かったのは市内中心部にあるローカルマーケット「Kleinmarkthalle(クラインマルクトハレ)」。
1960年創業の老舗マーケットは、観光客というより、地元の方々が集まってくる生活感のある場所でした。
色とりどりの野菜や果物、焼きたてのパン、そして何より目を引いたのは、ソーセージやハムがずらりと並んだ精肉コーナー。ひとつひとつが芸術作品のようで、見ているだけでも楽しくなってきます。
せっかくなので、ちょっと勇気を出して「メットブレートヒェン(Mettbrötchen)」をいただいてみることに。これは、生の豚ひき肉をパンにのせて、塩コショウと玉ねぎで味付けしたドイツの伝統的な軽食なんです。
初めて食べたその味は、想像以上に繊細で、口の中に旨味がじんわりと広がっていきました。店員の方もとても親切で、「これが本当のドイツの味だよ」と笑顔で教えてくださったのが、印象に残っています。
フランクフルト大聖堂で、静けさの中に包まれる
マーケットでエネルギーをチャージしたあとは、少し歩いて「フランクフルト大聖堂(Dom St. Bartholomäus)」へ。赤褐色の石材で造られたその佇まいは、近代的なビルが立ち並ぶ市街地の中において、ひときわ荘厳な存在感を放っていました。
内部に足を踏み入れると、高い天井とステンドグラスから差し込む光、そして木の香りと祈りの空気が混ざり合った独特の空間が広がっていました。観光客も多く訪れていましたが、皆さんどこかしら静かで、ひとときの静寂を大切にされているような雰囲気でした。
中でも印象的だったのは、キリストの磔刑像を中心にした彫刻群。信仰を超えて、人間の感情をストレートに伝えてくるその表情には、思わず足を止めてしまいます。
写真では伝えきれない重みと、そこに流れている“時間”のようなものを、肌で感じることができました。
アイゼルナー橋から望む、旧市街とビル群の共演
そのあとは、マイン川にかかる「アイゼルナー橋(Eiserner Steg)」へと足を伸ばします。
橋の上には、いわゆる「愛の南京錠」が所狭しと並んでいて、思わずその中に何かストーリーがあるんじゃないかと想像を巡らせてしまいます。
橋から望むのは、伝統的な街並みと、背後にそびえるガラス張りの高層ビル。フランクフルトという街が「古さ」と「新しさ」を同時に受け入れていることを、改めて感じさせてくれる風景でした。
ちなみにこの橋を渡った先、川沿いには船上レストランやカフェが並んでおり、夕暮れどきには仕事帰りの方たちがグラスを傾けながら談笑されていました。観光地というより、生活の一部として“川と共にある暮らし”が根付いている様子が、とても心地よかったです。
名物シュバイネハクセに挑戦
夕食は、ドイツの名物料理である「シュバイネハクセ(豚すね肉のロースト)」に挑戦することに。
写真で見たことはありましたが、目の前に運ばれてきたそのボリュームには圧倒されました。外はカリッと香ばしく焼き上げられ、中は驚くほどジューシー。添えられたポテト団子も、ソースと絡めると素朴ながらしっかりとした旨味が感じられました。
それにしてもこの一皿、見た目以上に“重い”です。食後はすっかり満腹で、しばらく身動きが取れないほどでした。けれども、その満足感は旅の醍醐味のひとつでもありますよね。
夜の街でひと休み
お腹を落ち着けたあとは、旧市街の広場や小道を散策。昼とはまた違った顔を見せる夜のフランクフルトは、どこか詩的で、時間の流れがゆっくりと感じられるのが魅力でした。静かにライトアップされた建物と、ふと聴こえてくるバスカーの音楽が、なんとも心地よく響いてきます。
ベンチに腰掛けて、ふうっとひと息。観光名所を駆け抜けるような旅も悪くないですが、こうして“ただ街にいるだけ”の時間の尊さを、改めて感じることができました。
前半の終わりに
このフランクフルト前半の2日間、正直に申し上げて「経由地だから」くらいの気持ちで選んだ場所でした。ですが、実際に足を運んでみると、マーケットの活気、歴史ある教会の静けさ、川沿いのくつろぎ、そしてボリューム満点の郷土料理…すべてが心に残るものでした。
ドイツという国が持つ誠実さと、都市であることの合理性、そこに暮らす人のやさしさが、フランクフルトという街にはぎゅっと詰まっていたように思います。
さて、後半ではこの街の“深いところ”へもう一歩踏み込んでいくことになります。次回も、どうぞお楽しみに。
この記事を書いた人

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- 1985.11.09 滋賀⇄東京⇄滋賀
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