タイのパタヤを離れ、バンコクを経由してクアラルンプールへ。インド、タイと続いたこの旅の次の目的地です。
マレーシアは、東南アジアのほぼ中央に位置する多民族国家です。 マレー系、中華系、インド系を中心に、多様な民族が一つの国の中で共存している。
公用語はマレー語ですが、英語も広く通じる。イスラム教が国教でありながら、仏教、ヒンドゥー教、キリスト教の寺院やモスクが同じ街に並んでいる。

首都クアラルンプールには、東南アジア有数の近代的なビル群がそびえる一方で、路地裏には昔ながらの屋台や市場が息づいている。
一つの国の中に、いくつもの文化と時代が同居している。そんな場所です。 自分にとって、マレーシアは今回が初めてでした。
JBMへ
今回マレーシアを訪れた目的は、JCI(国際青年会議所)のJBM、January Board Meetingへの出席でした。 JBMは毎年1月に開催される理事会です。

昨年はアメリカのミズーリ州セントルイスで行われましたが、雪の影響もあり、今年の開催地はマレーシア・クアラルンプールに変更されました。東南アジアの1月。
セントルイスの雪景色とは正反対の、蒸し暑い空気の中での会議です。 自分の役割は、直前会頭である下山田さんのサポート。JCIの現役は昨年末のインドで終えましたが、こうして関わる機会をいただけることは、ありがたいことです。

会場のホテルに入ると、JCIの新しいバナーが目に入りました。「Developing leaders for a changing world」。
昨年度のチュニジア世界会議にてJCIのロゴが一新されていて、そのデザインがバナーにも反映されている。青を基調にした、洗練されたビジュアル。組織が新しい時代に向けて動いていることを、視覚的に感じました。
新しいバッジ
会場で、新しいJCIのバッジをいただきました。 スーツの胸ポケットにつけてみる。小さなゴールドのピンに、新しいロゴが刻まれている。非常にシンプルなデザインです。

以前のバッジと比べると、ずいぶん洗練された印象を受けました。 デザイナーとしてロゴの変更には敏感になります。長年親しまれてきたものを変えるのは、勇気のいる決断です。でも、時代に合わせて進化していくことは、組織にとっても、ブランドにとっても、必要なことだと思います。胸元の小さなピンが、そのことを静かに主張していました。
アレハンドラ会頭
今年度のJCI会頭は、ボリビア出身のアレハンドラさんです。 レセプションの場で、記念撮影をさせていただきました。柔らかい笑顔の中に、世界を率いる人の芯の強さがある。JCIの会頭は、世界中の青年経営者の代表です。

その重責を担う彼女と同じ空間にいることの意味を、自分なりに噛み締めていました。 日本チームでの集合写真も撮りました。JCIの新しいバナーの前に並ぶ5人。スーツに身を包んで、背筋を伸ばして。
インドのNATCONのステージに立ったのが、つい最近のことのようです。あの時はシェルワニを着ていた自分が、今はスーツを着てクアラルンプールにいる。場所も服装も変わったけれど、JCIという縁でつながっている。その事実が、不思議でもあり、嬉しくもありました。
ブキビンタンの夜
会議を終えた夜、街に出ました。 向かったのはブキビンタン。クアラルンプールの中心部にある、中華系の大きな屋台通りです。 通りに入った瞬間、圧倒されました。

赤い提灯が頭上にずらりと並び、「SELAMAT DATANG・WELCOME」と書かれた横断幕がかかっている。通りの両側にシーフード、焼き鳥、麺類、あらゆる種類の屋台が軒を連ね、その間をプラスチックのテーブルと椅子が埋め尽くしている。

世界中から来た人たちが、屋台の前で料理を待ち、テーブルでビールを飲んでいる。 サテーを頼みました。串に刺した鶏肉に、ピーナッツソースをつけて食べる。

タイでも食べたサテーとは、また味が違う。マレーシアのサテーは、スパイスの効き方がより複雑で、ソースの甘みが深い。紫玉ねぎのスライスが添えてあって、交互に食べると口の中で味が変化していく。 揚げたボール状の何かも食べました。
カップに入ったそれを、チリソースにつけて食べる。外はカリッと、中はもちっと。名前はわからなかったけれど、ビールに合う最高のつまみでした。
壁画の街を歩く
翌日、クアラルンプールの街を歩きました。
この辺りは壁画アートでも有名だと聞いていました。実際に歩いてみると、路地のあちこちに絵が描かれている。 セピア調で描かれた歴史的な壁画。牛車を引く人、市場で働く人、昔のクアラルンプールの日常が建物の壁一面に描かれている。

その前にテーブルと椅子が置いてあって、カフェになっている。歴史の中で食事をしているような、不思議な空間でした。 別の路地には、カラフルな壁画がありました。

縄跳びをする子どもたち、髪を切る理髪師。「海南茶室」と書かれたコピティアムの看板。

壁画の前に、本物の理髪店の椅子が置いてある。座ってみました。壁の絵と一体になるような感覚が面白くて、思わず笑ってしまいました。
提灯が吊り下げられた路地もありました。色とりどりの紙提灯が、通りの上空を埋め尽くしている。その下を見上げながら歩く。中華系の文化が、マレーシアの街の中に自然に溶け込んでいる。 チャイナタウンのペタリンストリートにも足を運びました。

赤と金の門をくぐると、衣類や雑貨を売る店がびっしりと並んでいる。頭上にはASEANの看板。ヒジャブを被った女性とチャイナドレスの店員が、同じ通りで買い物をしている。マレーシアの多文化が、ここに凝縮されていました。
焼肉の夜
夜は、焼肉を食べに行きました。 ブキビンタンの屋台通りの近くにある焼肉店。炭火のグリルの上で、肉を焼いていく。

トングで肉をひっくり返しながら、JCIの仲間たちと話す。こういう時間が、実は一番贅沢なのかもしれません。 会議やセレモニーの場では、みんなスーツを着て、背筋を伸ばしている。でも焼肉の前では、誰もが素の顔になる。肉が焼ける音、立ち上る煙、ビールのグラスがぶつかる音。

国境も肩書きも関係なく、ただ一緒にうまいものを食べている。JCIの仲間との関係は、こういう何気ない食事の時間で深まっていくのだと思います。

巨大なラム肉の塊が、炭火の上で豪快に焼かれている光景も目にしました。骨つきの肉が炭の上でじりじりと音を立てている。マレーシアの食は、中華系だけではない。

マレー系の味、インド系の味、そしてそれらが混ざり合った独自の味。食の多様性でも、この国は圧倒的でした。
シーシャと肉骨茶
食後は、シーシャを楽しみました。 ガラスと金属でできた美しい器具。甘い煙をゆっくりと吸い込んで、ゆっくりと吐く。

クアラルンプールの夜の空気と混ざって、独特のリラックスした時間が流れていました。 別の日には、肉骨茶も食べました。豚肉を漢方のスープで煮込んだ、マレーシアの代表的な料理です。パクチーが乗った土鍋の中に、ごろりとした豚肉と椎茸が浸かっている。

スープは薬膳の香りがするのに、味は驚くほど優しい。体の芯から温まる一杯でした。 ラクサにも出会いました。ココナッツミルクベースの濃厚なスープに、もやしや豆腐、フィッシュボールが入っている。スパイシーでクリーミーで、一口ごとに味の層が変わっていく。
マレーシアの食は、本当に底が知れない。 インドのカレー、タイの鍋、そしてマレーシアの肉骨茶とラクサ。この旅は、アジアの食の旅でもありました。
クアラルンプールの横顔
街を歩いていて印象的だったのは、古いものと新しいものの距離の近さでした。
洗濯物が干された古いアパートの真後ろに、ガラス張りの高層ビルがそびえている。路地裏の屋台のすぐ向こうに、近代的なショッピングモールがある。

その落差に最初は驚きましたが、歩いているうちに、それがこの街の個性なのだと思うようになりました。

インドでも同じことを感じました。古いものを壊して新しくするのではなく、古いものの横に新しいものを置く。アジアの都市には、そういう共存の知恵がある。日本の都市開発とは違う、もう一つの正解がここにありました。 ドリアンの巨大なオブジェの前を通りました。

中華系の看板が並ぶ通りに、HOT POT SKEWERSの文字。提灯が吊るされ、テーブルが並んでいる。この混沌の中に、マレーシアの活気が。
次回は、クアラルンプールのシンボルであるペトロナスツインタワーと、山の中にそびえる洞窟の寺院を訪ねます。マレーシア編、後半もお楽しみに。
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