イタリア北東部、アドリア海に浮かぶ水の都ヴェネチア。
空から見下ろしたとき、その美しい島々と絡み合う運河の景色に心を奪われ、地上に降り立つと、さらにその独特の世界に引き込まれました。
この街では車が禁止されているため、移動は船と徒歩のみ。
その制限が、どこか日常から切り離されたような感覚をもたらしてくれます。
朝、ヴェネチア本島の宿から小さな運河沿いの路地を歩き、近くの桟橋で水上バス「ヴァポレット」を待つことから一日は始まりました。
軽やかな波の音と、ゴンドラを漕ぐ漕ぎ手の陽気な歌声が耳に心地よく響きます。
次々と到着するヴァポレットには観光客や地元の人々が乗り込み、まるで生活の一部として運河を行き交う光景が広がっていました。
ヴァポレットに乗り込むと、目の前には「カナル・グランデ」の景色が広がります。
カナル・グランデ
船はカナル・グランデをゆっくりと進み始めました。
この全長約4kmの大運河は、ヴェネチアの中心を蛇行するように流れ、街の大動脈として古くから機能してきた場所。運河沿いには15世紀から18世紀に建てられた壮麗な建築物が立ち並び、水面にその姿を映し出していました。
水上バスの揺れとともに、次々と現れる美しい建物に、まるで歴史の中を旅しているような気分になりました。
船の上から眺める景色は、どの方向を見ても完璧な絵画のよう。
運河を進む他のゴンドラや貨物を運ぶボートも、すべてがこの街の風景を形作る重要なピースに思えます。そして、カナル・グランデの終点とも言える「サン・マルコ広場」に到着しました。
サン・マルコ広場
ヴェネチアで最も有名な観光地の一つ、サン・マルコ広場。ヴァポレットを降りると、大聖堂の黄金色に輝くモザイクと赤レンガの鐘楼が、目の前に現れます。
この広場は、「世界で最も美しい広場」とも称され、何世紀もの間、多くの人々が集まり、商談をし、歴史を刻んできた場所。
夜になると地面に水が一面にたまり幻想的な写真を撮影することが可能です。
サン・マルコ大聖堂の前に立つと、その圧倒的なビザンチン建築に目を奪われます。黄金のモザイクと複雑な彫刻が施されたファサードが朝の陽光に輝き、まるで神秘的な物語が語られているよう。大聖堂をじっくりと観察した後、隣の鐘楼「カンパニーレ」にも足を運びました。
赤茶色の屋根が連なる街並み。そして、遠くにはラグーンとブラーノ島まで見渡せる絶景が広がっていました。この街の全景を見下ろしながら、ヴェネチアの特別な魅力を改めて実感しました。
リアルト橋へ向かう
サン・マルコ広場を後にし、次に向かったのは「リアルト橋」。この橋へ向かう道中は、細い路地を抜けたり、小さな運河を渡ったりと、まるで迷路のような道のり。途中で出会うカフェやガラス細工の店、レース製品を扱う露店が散策をさらに楽しいものにしてくれます。
リアルト橋は、カナル・グランデを横断する最古の石橋。橋の上には小さな商店が並び、ジュエリーやヴェネチアングラスのアクセサリーがずらりと並んでいます。
橋の中央に立つと、運河を行き交うゴンドラや水上バス、そして運河沿いの美しい建物が見渡せ、その風景にしばらく心を奪われました。
サン・ジョルジョ・マッジョーレ教会
次に向かったのは、カナル・グランデから小さな船で渡った先にある「サン・ジョルジョ・マッジョーレ教会」。
ヴェネチア本島の喧騒から離れたこの場所は、静けさに包まれており、まるで別世界のようでした。
こちらはジョジョの奇妙な冒険の第五部でも有名な場所です。
教会の内部は、白を基調としたシンプルなデザインが特徴的で、ステンドグラスから差し込む光が荘厳な雰囲気をさらに引き立てていました。
また、鐘楼に上がると、ヴェネチアの街全体を見渡せる絶景が広がり、ここでしか味わえない特別な時間を過ごすことができました。
ブラーノ島への小旅行
ヴェネチア本島からさらに船で向かったのが「ブラーノ島」。
約40分の船旅では、ラグーンを渡る風を肌で感じながら、徐々に近づいてくるカラフルな家々を眺めました。
ブラーノ島の家々は、それぞれが鮮やかな色彩に塗られており、赤、青、黄色、緑、ピンク……どの家も異なる色合いを持っています。このカラフルな景観は、霧が立ち込める日にも漁師たちが自分の家を見つけやすいように、という理由で塗られたと言われています。
それが結果的に島全体を美しいキャンバスのように仕上げています。どの建物も定期的に塗り直されるため、色鮮やかな状態が保たれているのだとか。
ブラーノ島に降り立つと、運河沿いを散歩しながら、のどかな空気に包まれた島の暮らしを目にしました。洗濯物がカラフルな家の間に干されて揺れる光景や、地元の人々が家の前で談笑している様子が、まるで映画のワンシーンのようです。
観光地でありながらも、生活感が色濃く残るこの島では、訪れる人々も自然とゆったりとした気分になれる不思議な魅力があります。
島内にはいくつかのレース工房やショップがあり、その場で繊細なレースが編まれる様子を見学することもできます。レースで作られたテーブルクロスや衣類、ハンカチなどは、お土産としても大人気です。
その緻密なデザインと手作りの温かみを感じるアイテムは、見ているだけでも楽しいひとときです。
地元の漁師たちが家の前でくつろぐ様子や、伝統的なレース工房を訪れる観光客の姿が、この島特有の温かな雰囲気を生み出していました。
島内を散策し、地元のカフェで一息ついた後、本島へ戻る船に乗り込みました。
ヴェネチア名物イカスミパスタで旅の締めくくり
ヴェネチア最後のディナーは、名物のイカスミパスタ。レストランで運ばれてきた黒く輝くパスタは、その見た目だけでもインパクト抜群。
一口食べると、濃厚なイカスミの風味ともちもちとしたパスタの食感が絶妙で、地元の白ワインとともに味わうとさらに美味しさが際立ちました。
観光地を一通り巡って
ヴェネチアは、THE 観光地をぐりと回ってみました。そこはまるで水の上に築かれた歴史と文化の宝石箱のような街でした。
ゴンドラに揺られ、路地を歩き、地元の人々と触れ合う中で、この街が持つ唯一無二の魅力を存分に味わうことができました。
この街で過ごした時間は、ただの観光ではなく、自分自身の感覚や価値観を揺さぶられるような特別な体験でした。次に訪れるときには、さらに深くこの街を知る旅にしたいと心から思います。
次回はヴェネチアの「アート」や「デザイン」という観点からこの街の魅力をお届けできればと思います。それにしてもデザインの街イタリア。見ているだけで刺激の連続でした。
この記事を書いた人
- 1985.11.09 滋賀⇄東京⇄滋賀
最近気になるのはChatGPT OpenAi関連… 生成Aiにはどう頑張っても勝てないのでもう考えることを辞めましたw
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