霧雨が演出する台湾・九份 〜『千と千尋の神隠し』の舞台を訪ねて〜

2025.02.14

 台北からバスを乗り継いで約1時間。

早朝に出発し、山の中腹に佇む小さな街・九份(ジォウフェン)を訪れました。

九份といえば、宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』の世界を彷彿とさせる風景で知られる台湾屈指の観光地です。赤い提灯が灯る細い路地、ノスタルジックな茶館、どこか異世界に迷い込んだような不思議な雰囲気が漂っています。

この日、天気はあいにくの雨。しかし、九份では雨こそがこの街の「通常運転」だそうです。

霧雨が街を包み込み、しっとりと濡れた石畳に赤い提灯の光が映り込む光景は、むしろ幻想的で、この街本来の美しさを際立たせていました。

赤い提灯が揺れる九份老街へ

九份観光のメインストリートである「九份老街(ジォウフェン・ラオジエ)」へと足を踏み入れると、そこはすでに異世界の入口でした。細い石畳の路地には、赤い提灯が無数に吊るされ、雨粒を受けながら静かに揺れています。

傘を差しながら通りを歩くと、両脇には小さな店がぎっしりと並び、食べ物の香ばしい匂いが漂ってきました。漢方の香りがする茶葉店、伝統的な台湾スイーツの屋台、手作り雑貨の店など、どこを覗いても心惹かれるものばかり。

途中、「阿妹茶樓(アーメイチャーロウ)」の前で足を止めました。この茶館こそ、『千と千尋の神隠し』に登場する「油屋」のモデルではないかと言われている場所です。

建物全体を覆う緑の蔦、階段を彩る無数の提灯、雨に霞む山々——まるで映画の中に入り込んだかのような気分になりました。

雨に濡れた街並みを眺めながら、絶品ルーローハンを堪能

九份の街を歩きながら、ちょうどお腹が空いてきたので、評判の良い食堂でルーローハン(滷肉飯)をいただくことにしました。

席に着き、窓の外を眺めると、赤い提灯が連なる屋根の向こうに、雨でかすむ九份の風景が広がっていました。その幻想的な景色を眺めているうちに、熱々のルーローハンが運ばれてきました。

一口食べると、豚肉の甘辛いタレがご飯にしっかりと絡み、口の中いっぱいに旨味が広がります。じっくりと煮込まれた豚肉はとろけるように柔らかく、添えられた細切りの鶏肉がまた食感に変化を加えています。甘じょっぱいタレがしっかりと染み込んだご飯とともに味わうと、思わずほっとする味わいでした。

窓の外には、観光客が雨の中を傘をさしながら歩いています。みんな、雨に濡れるこの街をどこか楽しんでいるように見えました。九份では雨すらも街の一部。むしろ、この天候があるからこそ、ここで過ごす時間は特別なものになるのだと感じました。

九份名物・タロイモスイーツでひと休み

ルーローハンでお腹を満たした後は、九份名物のタロイモスイーツを求めて甘味処へ。台湾では「芋圓(ユーユェン)」と呼ばれるタロイモ団子が有名で、もちもちとした食感が特徴です。

注文したのは、伝統的な「芋圓湯(ユーユェンタン)」。たっぷりのタロイモ団子に、甘く煮た小豆や緑豆、そしてツルンとしたハトムギが入った温かいスイーツです。

スプーンですくって口に運ぶと、もちもちとしたタロイモ団子の食感が楽しく、素朴な甘さが体にじんわりと染み渡ります。優しい味わいのスープとともにいただくことで、冷えた体がほっと温まりました。

あまりにも美味しかったので、場所を変えて、もう一度オーダー。笑

店のテラス席からは、赤い提灯が揺れる九份の街並みを眺めることができ、静かに雨音を聞きながら、この幻想的な空間を存分に味わいました。

夜の九份 〜雨に映える提灯の光〜

夕暮れが近づくにつれ、九份の街はさらに幻想的な雰囲気を増していきました。

日が沈み始めると、赤い提灯の光が雨に濡れた石畳に映り込み、街全体が輝き出します。昼間とはまた違う表情を見せる夜の九份は、まるで時間の流れがゆっくりと動いているかのような、不思議な感覚に包まれました。

細い階段を下りながら、ふと振り返ると、「阿妹茶樓」が灯りをともしていました。その光景は、まさに映画のワンシーンのよう。

夜の九份を歩いていると、観光客たちの楽しそうな笑い声が聞こえてきます。雨音と混じり合いながら、この幻想的な街の雰囲気をより一層引き立てていました。

旅の終わりに 〜雨だからこそ出会えた九份の美しさ〜

九份での時間を振り返ると、やはりこの街は「雨が似合う場所」でした。

夕飯も、もう台湾に滞在中6食目くらいのルーロー飯。笑

しっとりと濡れた石畳、霧の中に浮かび上がる赤い提灯、窓から眺める幻想的な景色——どれも、晴天では味わえない特別な魅力がありました。

ルーローハンの温かい味、タロイモスイーツの優しい甘さ、そして、雨の中を歩いた思い出。すべてが心に深く刻まれ、忘れられない旅の一ページとなりました。

この記事を書いた人

TAKASHI YAMANAKA
TAKASHI YAMANAKA代表取締役
1985.11.09 滋賀⇄東京⇄滋賀
最近気になるのはChatGPT OpenAi関連… 生成Aiにはどう頑張っても勝てないのでもう考えることを辞めましたw
▪趣味:旅行 ギター 読書 キャンプ 釣りとか…
7年前に始めたBLOGも600記事を超えました。
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TAKASHI YAMANAKA

CEO

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