真実の口に誓い、ボルサリーノの矜持を纏う。イタリア・ローマ、2年越しの宿願を果たす再訪記。

2026.01.01

バチカンの神聖な空気に触れた後、自分は再び「永遠の都」ローマの喧騒へと身を投じました。

今回のローマ再訪には、バチカン入国と同じく、どうしても果たしておかなければならない「個人的な儀式」がありました。それは、前回の滞在で惜しくも逃してしまった、あの象徴的な場所への巡礼です。

とその前に、ローマでの食事、実はもう一つの大きなハイライトがありました。

それは、自分の大好物である「ラザニア」です。自分にとって、イタリアに来てこれを食べずには帰れない、まさに「必食」の一皿です。

運ばれてきたのは、何層にも重なったパスタと濃厚なミートソース、そしてたっぷりのチーズが芸術的なグラデーションを描く一皿。

オーブンで焼き上げられた香ばしい匂いだけで、自分の期待値は最高潮に達します。

フォークを入れれば、モチモチとした生地とソースが一体となり、口の中に至福の時間が広がります。

何世代にもわたって守り続けられてきた伝統的なレシピのコクは、何度食べても自分を新しい感動へと連れて行ってくれます。

やはり、本場ローマで食すラザニアは、格別の一言に尽きました。

嘘を許さぬ古の眼差し。真実の口に誓う

電車を乗り継ぎ、街の喧騒を少し離れた場所にあるサンタ・マリア・イン・コスメディン教会へと向かいました。目的は、言うまでもなく「真実の口(Bocca della Verità)」です。

現場に到着すると、そこには予想を遥かに超える長い行列ができていました。

世界中から集まった人々が、この直径1.75メートルの巨大な円盤の前に立ち、自らの手が「食われない」ことを証明しようと並んでいます。自分もその列に加わり、じりじりと照りつけるローマの太陽の下で待ち続けました。

ようやく自分の番が回ってきたとき、ファインダー越しではない、実物の「口」の威圧感に一瞬気圧されました。かつては下水溝の蓋だったという説もありますが、1600年以上の時を経て人々の祈りや畏怖を吸い込んできたその表情には、言葉にできない凄みがあります。

嘘をつけば手が食い千切られるという伝説。

それは裏を返せば、表現において「真実であり続けること」の難しさを説いているようにも感じられます。

整理されたカオス。――トレビの泉で見つけた「変化」と「普遍」

次に向かったのは、ローマの象徴とも言える「トレビの泉(Fontana di Trevi)」です。

自分にとってここは二度目の訪問でしたが、広場に足を踏み入れた瞬間に違和感を覚えました。

かつてのトレビの泉といえば、足の踏み場もないほどの観光客が押し寄せ、まさに「カオス」そのものの場所でした。しかし、今回訪れてみると、驚くほどシステマチックに管理されていたのです。

以前のような無秩序な混雑を避けるためか、うまく整理券や誘導の仕組みが導入されており、人々はかつてよりもゆったりと、バロック様式の傑作を鑑賞することができていました。

歴史的な建造物のすぐそばで、スマホを片手に並ぶ人々と、かつての郵便局を利用したスターバックスで見かけたような「現代の合理性」が、ここローマでも着実に浸透していることを実感しました。

それでも、白い大理石が放つ圧倒的な輝きと、絶え間なく溢れ出す水の音は、何世紀も前から変わらぬままです。自分も周囲の人々に倣い、コインを肩越しに投げ入れました。

システムは変わっても、この場所に込められた「再びローマへ戻ってきたい」という人々の願いは、決して色褪せることはありません。

味覚の地層を掘り起こす。―ラザニアとアマトリチャーナの再会

ローマを歩き回るうちに、自分の身体が欲したのは、この街の「土着の味」でした。ランチに向かったのは、前回食べてその深い味わいに感動した、お気に入りのトラットリアです。

ディナーには久々に「アマトリチャーナ」を注文しました。

グアンチャーレ(豚の頬肉の塩漬け)の脂のコクと、トマトの酸味、そしてパンチの効いたペコリーノ・ロマーノ。シンプルだからこそ、素材の質とシェフの腕が剥き出しになるこのパスタは、まさにローマそのものの味です。

職人の矜持を纏う。ボルサリーノで出会った「究極の輪郭」

美食の後は、イタリアが誇るクラフツマンシップの頂点、「Borsalino(ボルサリーノ)」へと向かいました。ローマの街角に佇むその店舗は、外観からして凛とした品格を漂わせています。

1857年の創業以来、一貫して最高級のフェルトと熟練の職人による手作業にこだわり続けてきたこのメゾン。店内に入ると、色とりどりのハットが、まるで芸術品のように整然とディスプレイされていました。

赤、紫、黄色……鮮やかな色彩から、自分好みのシックなトーンまで、そのバリエーションは圧巻です。

一つひとつのハットを手に取ってみると、その驚くべき軽さと、指先に吸い付くような質感に驚かされます。それは、長年の伝統が生み出した「究極の輪郭」です。単に頭を守るための道具ではなく、被る人のアイデンティティを形作るためのピース。

ファッションにおけるアーカイブの価値を学んだパリ、そしてモードの先端を走るミラノを経て、ここローマで出会ったボルサリーノは、自分に「本物だけが持ちうる静かな自信」を教えてくれました。

結び。――夕陽に染まるローマの地層、そして旅の完結へ

夕暮れ時、自分はナヴォーナ広場(Piazza Navona)のオベリスクの影を眺めながら、パンテオン(Pantheon)の荘厳な円蓋の前に立ちました。

スペイン広場周辺の賑やかさも、バス停で待つ人々の日常も、教会の内部に漂う静謐な空気も、そのすべてがローマという巨大な地層の一部となって、自分を包み込んでいました。

真実の口で誓った誠実さ、トレビの泉で見つけた変化、ラザニアが教えてくれた普遍、そしてボルサリーノに宿る職人の魂。今回のローマ再訪は、自分の中に散らばっていた旅の断片を、一つの「確信」へと繋げてくれる時間となりました。

この記事を書いた人

TAKASHI YAMANAKA
TAKASHI YAMANAKA代表取締役
1985.11.09 滋賀⇄東京⇄滋賀
▪趣味:旅行 ギター 読書 キャンプ 釣りとか…
10年前に始めたBLOGも800記事を超えました。
FIRST MADE

この記事を書いた人

TAKASHI YAMANAKA

CEO

1985.11.09 滋賀⇄東京⇄滋賀
▪趣味:旅行 ギター 読書 キャンプ 釣りとか…
10年前に始めたBLOGも800記事を超えました。

contact PAGE TOP