遠回りの果てに出逢った、レバノンの夕暮れ 〜落書きに宿る叫び〜

2025.07.15

ルサカから乗った便は、まずアラブ首長国連邦・ドバイへと向かいました。

世界の空港の中でも、近未来的なデザインと華やかさで知られるドバイ国際空港。

その姿を久しぶりに目にしながら、レバノン行きの便を確認したところ…まさかの事態が待ち構えていました。

トランジット時間の都合により、予定していた便への搭乗が不可能になってしまったのです。

通常なら慌ててしまうところですが、そこはさすがのエミレーツ航空。

状況を理解したスタッフの方々がすぐに対応してくださり、謝罪とともに一泊分のホテルをご用意いただけました。

案内されたホテルの部屋は落ち着いた空気に包まれ、ほんの数時間ではありましたが、心と身体をリセットするには十分な時間でした。

シャワーを浴び、シーツに身を沈めた瞬間。

まるで自分の時間が一度止まったように感じたのを、今でも覚えています。

到着の瞬間、旅の意味が輪郭を持ちはじめる

そして翌日。改めて乗り込んだフライトは、ついに目的地であるレバノン・ベイルートへ。

機内から見下ろした街並みは、建物がびっしりと並び合いながら、どこかしら統一感のある色合いを帯びておりました。

砂漠の国から地中海沿岸の国へ。空気が確かに変わったのです。

空港に降り立った瞬間、胸の奥にひとつの熱が灯りました。

青年会議所(JCI)のメンバーが出迎えてくださっていました。「ようこそ、レバノンへ」

その言葉に、旅の疲れがふわっと溶けていくのを感じました。

空を見上げると、夕暮れが街を静かに染めていました。

朱と藍がまじり合い、やがてゆっくりと夜へと移り変わるそのグラデーション。

どこか映画のワンシーンのようで──言葉を失うほどの美しさがありました。

 落書きに滲む“声にならない叫び”

ただ、その美しさの裏にあるものにも、目を背けてはならないと感じました。

空港から市街地へ向かう道中、車窓に映ったのは街中に描かれたメッセージの数々。

「FUCK THE GOVERNMENT」「I GOT MY OWN DEM」

ストリートの壁というキャンバスに、黒いスプレーで力強く描かれた文字。

これは、誰かの怒りではなく、誰かの「祈り」なのかもしれないと、ふと考えてしまいました。

政治や社会への不満を、声に出すことすら難しい若者たちが、自分の存在を刻む手段として選んだのが“落書き”だったのでしょう。

平和と混沌。

希望と失望。

美しさと痛み。

そういった全てが共存している──それがレバノンという国の第一印象でした。

青年会議所メンバーとの、あたたかな夜 

夜には、レバノン青年会議所の皆様と合流し、ベイルートの海沿いにあるレストランで食事をご一緒させていただきました。

白を基調としたアーチが美しい建物、海風が心地よいテラス席。

灯りの反射が水面にゆらめき、周囲にはシーシャ(水たばこ)の香りが漂っていました。

いただいた料理は、レバノンの伝統的な家庭料理の数々。

タブーレの爽やかさ、ハンモスのまろやかさ、ケバブの香ばしさ。

それぞれが一皿ごとに異なる物語を持っていて、そのどれもが優しくて、力強くて。

そんな感覚が、テーブルに並んだ料理以上の“満たされた気持ち”を運んできてくれました。

シーシャをくゆらせながら、異国の海風に吹かれ、笑い合う。

それは、この旅が教えてくれた「豊かさ」の象徴でした。

まだ旅の“本編”は、始まってすらいない

このレバノン滞在は、まだ始まったばかりです。

けれども、到着するまでのこの24時間が、まるで1冊の短編集のように濃密で、豊かでした。

ドバイでのトラブルも、ホテルでの一泊も、ベイルートの夕暮れも。

すべてが、今ここにいる自分をつくってくれている。

旅とは、自分が変化していく物語そのもの。

このあとの“公式訪問”という本編を迎える前に、少しだけこの記憶を大切に胸にしまっておこうと思います。

次回はいよいよ、青年会議所の皆様との交流、そして出会いから広がった観光をお届けいたします。

この記事を書いた人

TAKASHI YAMANAKA
TAKASHI YAMANAKA代表取締役
1985.11.09 滋賀⇄東京⇄滋賀
最近気になるのはChatGPT OpenAi関連… 生成Aiにはどう頑張っても勝てないのでもう考えることを辞めましたw
▪趣味:旅行 ギター 読書 キャンプ 釣りとか…
9年前に始めたBLOGも750記事を超えました。
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この記事を書いた人

TAKASHI YAMANAKA

CEO

1985.11.09 滋賀⇄東京⇄滋賀
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