霧の向こう側、伝統の衣装を纏い、国境を超えた仲間と過ごしたチャムラの午後

2025.12.17

チアパスの市街地が刻む陽気なリズムを背に、自分を乗せた車はさらに高度を上げていきました。目的地は、標高2,000メートルを超える山間にひっそりと、けれど強烈な個性を放って存在する「チャムラ村」。

車窓から見える景色は、時間の経過とともに深い緑と霧に包まれ、空気の粒子さえもが重くなっていくような、不思議な感覚に陥ります。約2時間半の道のり。高度が上がるたびに耳がツンと鳴り、自分の心もまた、日常とは切り離された「聖域」へと近づいていくのを感じました。

たどり着いたその村の入り口。最初に向かったのは、この村の魂ともいえる白い教会でした。けれど、一歩足を踏み入れると、そこには外の世界の常識が一切通用しない、圧倒的な静謐と信仰の熱気が渦巻いていました。 教会の中には、椅子が一つもありません。床一面には青々とした松の葉が敷き詰められ、何千本、何万本という蝋燭の火が揺らめいている。その香りと熱。そして、至る所で膝をつき、祈りを捧げる人々の姿。 写真は一切禁止。言葉にすることすら憚られるような、濃密な空気。 そこでは、自分たちの想像を超える「生」への儀式が行われていました。

鶏を生贄に捧げ、病や穢れを吸い取らせるという古くからの伝統。首を絞められる鶏の最期の声、そしてそれを見守る家族の真っ直ぐな瞳。 それは、残酷さとは無縁の、あまりにも純粋で切実な、生きるための祈りだった。 自分はただ、その光景を魂に焼き付けることしかできませんでした。 「科学やロジックだけでは救えない何かが、ここには確かにあるんだな。」 そんな独り言が、蝋燭の熱に溶けていくような気がしました。

この静謐な村で、新しい小さな仲間たちに出会えたことも、自分にとっては大きな救いでした。青年会議所のシニアメンバーのお子さんたち。

女の子と男の子、その二人の瞳は、この厳しい自然環境の中でも驚くほど澄んでいて。未来のJCを、そしてこの国の明日を担っていくであろう彼らの無邪気な笑顔に触れた瞬間、教会の厳粛な空気で張り詰めていた心が、ふわりと解けていくのを感じたんです。

掌(てのひら)から伝わる伝統と、未来を拓く小さな瞳

村の生活にお邪魔させていただき、実際に自分たちの手で伝統に触れる体験をさせていただきました。 挑戦したのは、メキシコの食の根幹である「トルティーヤ」作り。

地元のお母さんたちが、いとも簡単に、そしてリズミカルに丸めていく生地。自分も同じように、手のひらで転がし、押し広げてみるのですが、これが驚くほど難しい。厚みが均一にならなかったり、形が歪んでしまったり。 「たかが一枚、されど一枚。この薄い円の中に、どれだけの歴史と修練が詰まっているんだろう。」 お母さんたちの魔法のような手つきを横で見ながら、改めてこの土地に根付く文化の深さに敬意を覚えました。

そして、お待ちかねの昼食。みんなで囲むテーブルには、湯気が立ち上る郷土料理が並びました。 とくに自分の心を捉えたのは、大きな葉っぱに包まれた蒸し料理でした。

「これは、何だろう?」 ワクワクしながらその葉を解くと、中からはふっくらとした生地が現れました。まるで中華の肉まんを彷彿とさせる、その懐かしい食感。

一口食べれば、素材の旨みがじわじわと広がっていく。 ふと思い出したのは、以前訪れた南米・コロンビアの山の中で食べた料理のことでした。国を越え、国境を越え、同じように山の上で暮らす人々が、身近にある葉で料理を包み、蒸し上げる。

本当に、美味しかった。胃の腑から温まるその味は、標高の高いこの場所での、何よりの贅沢でした。

食事の後は、現地の伝統的な衣装に着替えさせていただきました。 羊毛をたっぷりと使い、色鮮やかな刺繍が施されたその重厚な衣装。袖を通した瞬間、ずっしりとした重みが肩に伝わってきます。

それは単なる服の重さではなく、代々受け継がれてきた伝統の重さそのものだったのかもしれません。 下山田会頭と、メキシコのナショナル・プレジデント。この旅を共にする大切な仲間たちと、3人で肩を組んで撮ったショットは、自分にとって忘れられない宝物になりました。

そこにあるのは、国境も役職も超えた、一人の人間としての共感。 文化を身に纏うことで、自分たちは少しだけ、チアパスという土地の心に近づけたのかもしれません。

高原の寒さを溶かす、贈られたフーディーと惜別の抱擁

村を後にした自分たちは、地元の皆さんが行きつけだというレストランへと向かいました。

そこでは、本場のタコスとトルティーヤを思う存分堪能させていただきました。

焼きたての香ばしい匂い、新鮮な野菜とスパイスの調和。どれだけ食べても飽きることのない、まさに「日常にある最高の芸術品」。

皆で笑い合い、今日という一日の出来事を語り合いながら過ごすひとときは、あっという間に過ぎ去っていきました。

楽しい時間は、残酷なほど早く終わりを告げます。 気がつけば、空港へ向かわなければならない時間。 ここチャムラ村は、夜が更けるにつれて、身体の芯まで凍えるような冷気が漂い始めていました。

自分は持ってきたジャージを着込んでいたのですが、それでも標高の高さからくる寒さには太刀打ちできないほどで。

思わず身震いしていた自分を見て、最後まで空港へ送ってくださったシニアの方が、そっとあるものを差し出してくれました。

「これを、君に。」

それは、メキシカンフーディー。 その温かな手触りのフーディーを羽織った瞬間、外気の冷たさは遮断され、身体の中にじんわりとした熱が戻ってきました。

それは単なる防寒着ではありませんでした。 見ず知らずの自分をここまで受け入れ、もてなし、最後には自分の身を案じてくれる。 その優しさ、その情熱。それこそが、自分がこのメキシコで探し求めていた、何物にも代えがたい「琥珀色の情熱」だったのだと確信しました。

空港のゲートを潜る前、送ってくださった皆さんと力強く抱き合いました。 チアパスでの濃密な時間。 霧の教会で見た祈りの姿、子供たちの澄んだ瞳、葉っぱに包まれた温かな食事。

そして、今、自分の肩を温めているこのフーディー。 この旅を通じて、自分は効率化や合理化という言葉の向こう側にある、「人間として生きるための本当の熱量」を教えてもらった気がします。

チアパスの記憶は、これからも自分の人生という旅を照らす道標になるでしょう。

次回はメキシコから日本への帰り道、ふらりと寄ったハワイでの記事です。

この記事を書いた人

TAKASHI YAMANAKA
TAKASHI YAMANAKA代表取締役
1985.11.09 滋賀⇄東京⇄滋賀
最近気になるのはChatGPT OpenAi関連… 生成Aiにはどう頑張っても勝てないのでもう考えることを辞めましたw
▪趣味:旅行 ギター 読書 キャンプ 釣りとか…
9年前に始めたBLOGも750記事を超えました。
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TAKASHI YAMANAKA

CEO

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