“何を解くべきか”を問い直す 〜“何を解くべきか”を問い直す〜

2025.05.01

久しぶりに一冊の本と、静かに向き合いました。

安宅和人さんの『イシューからはじめよ』。

この本を開いた瞬間から、胸の奥に灯るものがありました。

「問題を解く前に、問題を見極めるべきだ」

このシンプルでありながら、あまりにも本質的なメッセージは、

これまで自分が歩んできたクリエイティブの旅路に、静かに問いを投げかけてきます。

デザインも、文章も、コンセプトづくりも、

形を作る前に、必ず「問い」があったはずでした。

けれど、忙しさにかまけ、時に「作ることそのもの」が目的になってしまう。

そんな自分を、そっと見透かされたような気がしました。

「何を解くべきか」を見極めるという勇気

安宅さんが説く、「イシューを見極める」ということ。

それは、簡単なことではありません。

むしろ、私たちクリエイターにとっては、一番難しい作業かもしれないと感じます。

クライアントの要望、マーケットのトレンド、目の前に積み上がるタスク。

それらに流されることなく、本当に向き合うべき課題を見つめる。

これは、時に恐ろしく孤独な作業でもあります。

デザインをする時も、文章を書く時も、

「この表現で、本当に問いに答えているのか」

「今取り組んでいるこの案件は、そもそも価値のあるイシューなのか」

そんな自問自答を、何度も何度も繰り返さなくてはなりません。

そして時には、「これは取り組むべきではない」と判断する勇気も必要になるのです。

それは決して、逃げることではありません。

本当に価値のあるものに、限りある時間とエネルギーを注ぐための、覚悟なのだと学びました。

本当に向き合うべきものは、目に見えにくい

旅をしながら、世界中で仕事をしてきた中で、

「表面的な情報に惑わされる怖さ」を何度も痛感してきました。

たとえば、あるブランドリニューアル案件。

最初に提示された課題は、「ロゴを新しくしたい」というものでした。

しかし、何度もヒアリングを重ねるうちに見えてきたのは、

ロゴ自体ではなく、ブランドの存在意義そのものに対する迷いでした。

ロゴを刷新することは、単なる手段でしかありません。

本当に解くべきイシューは、「いま、このブランドが世の中に対してどんな意味を持つべきか」という問いだったのです。

安宅さんの言葉を借りれば、

「解くべきではない問題に時間をかけるのは、人生の無駄遣い」

その一言が、今なら痛いほど胸に響きます。

イシューに向き合うことで、生まれたイノベーション

本質的なイシューに向き合った時、クリエイティブは単なる「作業」から、「創造」へと変わります。

たとえば、以前手がけた旅系メディアの立ち上げプロジェクト。

最初は「情報サイトを作る」という依頼でしたが、本当に解くべき問いは、「なぜ人は旅をするのか」という根源的なものでした。

そこから導き出したコンセプトは、「旅は、日常を取り戻すためのもの」というテーマ。

単なる観光情報ではなく、旅を通して自分自身と再び出会うようなコンテンツを発信しよう、という方向に舵を切ったのです。

結果、サイトは多くの読者の心を掴み、数字以上の熱量を持ったコミュニティを育てることができました。

これは、安宅さんが言う「イシューに取り組む」ことが生み出す力なのだと、今では確信しています。

クリエイティブこそ、イシューを問い続けなければならない

「正しい問いを立てること」

これは、デザインでも、ライティングでも、どんな表現活動でも、核となるべき姿勢だと改めて感じます。

「かっこいいものを作る」

「きれいなものを作る」

それ自体はゴールではありません。

誰に、どんな価値を、どんなふうに届けるのか。

その根っこの部分を見誤れば、どんなに手間暇かけても、成果にはつながらないのです。

クリエイターという存在は、常に「問いかける者」であるべきだ。

安宅さんの本は、そんな静かな覚悟を、自分にもう一度思い出させてくれました。

まとめ:旅をしながら働く今だからこそ

今、世界をオフィスにして生きる中で、

情報や刺激は、もう溢れるほど手に入ります。

けれど、そこから本当に「価値ある問い」を拾い上げるには、

膨大な情報を削ぎ落とし、静かに本質を見極める目が必要です。

海辺の小さなカフェで。

砂漠を越えた町の屋台で。

どこにいても、

「自分はいま、何を本当に解こうとしているのか」

この問いを胸に、仕事を続けていきたいと思います。

そして、イシューに真正面から向き合うことが、

世界と本当につながるための、唯一の道だと信じています。

この記事を書いた人

TAKASHI YAMANAKA
TAKASHI YAMANAKA代表取締役
1985.11.09 滋賀⇄東京⇄滋賀
最近気になるのはChatGPT OpenAi関連… 生成Aiにはどう頑張っても勝てないのでもう考えることを辞めましたw
▪趣味:旅行 ギター 読書 キャンプ 釣りとか…
9年前に始めたBLOGも750記事を超えました。
FIRST MADE

この記事を書いた人

TAKASHI YAMANAKA

CEO

1985.11.09 滋賀⇄東京⇄滋賀
最近気になるのはChatGPT OpenAi関連… 生成Aiにはどう頑張っても勝てないのでもう考えることを辞めましたw
▪趣味:旅行 ギター 読書 キャンプ 釣りとか…
9年前に始めたBLOGも750記事を超えました。

contact PAGE TOP