キングストンでの滞在最後の夜、自分は現地メンバーに連れられ、街の奥へと車を走らせていました。
夜の空気は少し湿っていて、どこかゆっくりとした温度をまとっていました。

建物の影が重なり合う細い通りに差し掛かったとき、ふと鼻をくすぐる香りがしていました。
スパイスの匂いが風に乗り、静かな夜をやわらかく揺らしていました。

車を降りてしばらく歩くと、ドラム缶を横に倒して改造したような大きなグリルが置かれていました。
そこからは煙がゆっくりと立ちのぼり、炎と赤い炭の光がチラチラと揺れていました。

写真に残しているあの光景は、まさに「ストリートフードの原点」。
グリルの前では、男性が器用に肉をひっくり返しながらジャークチキンを焼いていました。
スパイスが焦げる香ばしい匂い、煙に包まれた熱気、その奥で聞こえる小さな話し声。

どれもがキングストンの夜を象徴しているように感じていました。
しばらく待つと、焼き上がったチキンが大きなアルミホイルの上に乗せられ、隣のテーブルへと運ばれていきました。

そこではパンが厚めに切られ、チキンの上へとそっと置かれていました。
道端のシャッターの前に腰を下ろし、包みを開きました。

夜風に当たりながら食べるジャークチキンは、驚くほど美味しくて、思わず笑ってしまいました。
旅先で食べた料理の中で、こういう“何でもない場所での一皿”が、いちばん深く心に残ることがあります。
この夜がまさにそうでした。
肉は香ばしく、スパイスは強いのにどこか優しくて、パンとの相性も抜群でした。

写真の自分は少し汗をかきながら笑っていますが、その笑顔の理由は、まぎれもなくこのチキンの美味しさでした。
そのすべてが、自分にとって忘れられないジャマイカの“香り”になっていました。
何度も食べれるゴートカレー
翌日は、モンテゴ・ベイへ向かう前に、現地メンバーと一緒に昼食をとりました。
もちろん選んだのはゴートカレーでした。

ジャマイカでの食事はどれも強い個性がありますが、ゴートカレーはその中心にあるような存在だと感じていました。
外のテラス席でいただいたその一皿は、スパイスの香りが風に乗り、食欲を優しく刺激していました。
肉は柔らかく、口の中で静かにほぐれていきました。

食卓に座る人々の表情は明るく、昼の光に照らされたテーブルにはジャマイカの日常がそのまま乗っているようでした。
食事を終えると、いよいよモンテゴ・ベイへ向かう時間になりました。
キングストンとはまた違ったジャマイカを知るための旅が、ここから始まるのだと思うと、胸の奥が少し高鳴っていました。
車で西へ。海の青さが広がる街、モンテゴ・ベイへ
車で移動する道中、景色はゆっくりと変わっていきました。
建物の密度が少しずつ減り、緑が増え、遠くに海の気配が見え隠れしていました。

ジャマイカの大地を横断しているような感覚があり、移動そのものが旅の続きになっていました。
モンテゴ・ベイに近づくにつれ、海の青さがはっきりと目に映るようになり、街全体に広がる明るさが印象的でした。

建物のデザインもカラフルで軽やかで、キングストンとはまた違った表情を見せていました。
現地JCIモンテゴベイの事務局にも伺い、海を見下ろす立地の中、メンバーの皆さんと意見交換をさせていただきました。

写真に写っている青い看板と、遠くに映る海の景色は、まるで“次の物語の始まり”を象徴しているようでした。

施設見学の後には、地域の方々やJCI関係者の皆さんが集まり、意見交換の場が設けられました。

白いテーブルクロスに青いリボンが結ばれ、まるで歓迎の気持ちを色で表現してくださっているようでした。

会場には静かな緊張と温かさが同時に流れていて、ひとつひとつの言葉がゆっくりと場を巡っていました。
ただ、モンテゴ・ベイの空気には、海を背景にした穏やかさがあり、それが言葉を包み込み、場全体をやさしくしているようにも感じていました。

そしてもうひとつ印象的だったのは、昼食へと案内していただいたときのことでした。
街の中心部に近いレストランで、地元の料理をいただきながら、メンバーたちが自分の訪問を喜んでくださった気持ちが伝わっていました。

↑ガンボスープのようなとろみのあるスープ。オクラを最後にフレッシュなままトッピングするあたりが、きっとルイジアナ料理(ケイジャン料理)の原点が、ここにあるんだろうな。と考えていました。

レストランを出ると、外は眩しいほど明るく、建物のカラフルな装飾や、青い海に向かって伸びる道路がまるで絵のようでした。

街全体に漂う南国の軽やかさと、どこか洗練されたデザイン性が共存していて、自分は思わず深呼吸をしていました。
「この街は、人の心を開かせるために生まれたのだろうか」と静かに思っていました。

そこから案内された別の施設では、医療支援や地域福祉に取り組む方々の話を伺うことができました。
壁に掲げられた歓迎バナーには、自分の名前が大きく書かれていて、その心遣いに胸が熱くなっていました。

会場に立つ人々の表情には、未来をよくしたいという願いがにじんでいて、その場にいられることがただ嬉しく感じていました。
夕方になるころ、最後のミーティングへ向かいました。
海沿いを抜けて市庁舎のような建物に入ると、円卓を囲んで多くのメンバーが集まっていました。

室内の照明がゆっくりと落ち着いた光を落とし、長い一日の締めくくりとしてふさわしい空気が流れていました。

この日のモンテゴ・ベイでの時間は、どれも丁寧に積み重なっていき、まるで旅の途中に置かれた“静かな宝物”のように心に残っていました。

街の色、海の光、言葉を交わすたびに深まっていく関係。

それらすべてが、自分の旅に新しい景色を与えてくれていました。
次回はキングストンへ戻り、レゲエのボブ・マーリーの聖地巡礼とレゲエバンドの観光編です。
この記事を書いた人

- 代表取締役
- 1985.11.09 滋賀⇄東京⇄滋賀
最近気になるのはChatGPT OpenAi関連… 生成Aiにはどう頑張っても勝てないのでもう考えることを辞めましたw
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9年前に始めたBLOGも750記事を超えました。
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