ヴェネチアの運河に響くゴンドラの漕ぎ手たちの声を背にし、新たな目的地へと心を躍らせました。
向かう先はフィレンツェ。
イタリアルネサンスの誕生地ともいわれるこの街は、芸術と歴史が息づく場所。
旅路は「フィリックスバス」と呼ばれる手軽なバスでスタートしました。
バックパックを抱えた旅人たち、地元へ帰る家族連れ、静かに本を読む学生。車内には、それぞれの目的地を胸に秘めた人々が乗り込んでいました。
窓の外には、次第にベネチア特有の湿地帯が遠ざかり、広がるのは穏やかなトスカーナの田園風景。日差しを受けて揺れるオリーブの木々やブドウ畑が、まるでこの旅を祝福しているようでした。
時間が止まるトスカーナの田園風景
バスの車窓から見える景色は、絵画の中に迷い込んだかのような美しさ。果てしなく続く丘陵地帯は、緑と黄金のモザイク模様を描き、時折現れる小さな村の教会がその静寂を破ることなく調和していました。
バスは時折停車し、乗客たちは地元の市場で購入したばかりのフルーツやパンを手にして戻ってきます。その素朴な光景に、日常の中に潜む豊かさを見つけたような気がしました。
歴史の扉が開く瞬間:フィレンツェ到着
夕陽が傾き始めた頃、ついにフィレンツェに到着。バスターミナルから街中へ向かう電車は混雑していましたが、そのざわめきさえも、この街のエネルギーを感じさせます。
まず目に飛び込んできたのは、レンガ造りの屋根が美しく並ぶ街並み。
歴史を感じさせる石畳の道と、どこからともなく漂うカフェのエスプレッソの香りに、これから始まる冒険への期待が高まります。
トスカーナの味わい深い一皿:フィレンツェの美食
最初に訪れたのは、地元のトラットリア。旅の疲れを癒す一杯の赤ワインとともに登場したのが、トスカーナ名物「パッパ・アル・ポモドーロ」。
この料理はトマト、バジル、オリーブオイルで煮込んだパンをベースにしたシンプルな家庭料理ですが、その素朴さの中に深い味わいがあります。
一口食べるごとに感じるのは、この土地の豊かな自然の恵み。新鮮なトマトの酸味とバジルの爽やかさが絶妙に調和し、どこか懐かしい温かみを感じさせる一品でした。
そして、フィレンツェで欠かせないのが「ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ」。
成人男性の両手を広げたほどの巨大なTボーンステーキは、シンプルな塩と胡椒だけの味付けにもかかわらず、炭火の香ばしい香りと肉本来の旨味が口いっぱいに広がります。
地元の赤ワインとの相性は言うまでもなく、これぞフィレンツェの味、と言える至福のひとときでした。
サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂:天空へと続く芸術
翌朝、最初に向かったのはサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂。この街の象徴ともいえる大聖堂は、遠くからでもその壮大さに目を奪われます。外壁を飾る白、緑、ピンクの大理石が朝日に輝き、どこまでも細やかな装飾が施されています。
中に入ると、天井を覆う巨大なフレスコ画「最後の審判」が視界に広がり、その圧倒的な迫力に息を呑みました。歴史の中でこの空間に集った無数の人々の祈りが、今もなおこの場所に宿っているような感覚を覚えます。
ポンテ・ベッキオで迎える黄昏
夕暮れ時、アルノ川に架かるポンテ・ベッキオを訪れました。この橋は、古くから金細工職人たちの拠点であり、現在でもジュエリーショップが軒を連ねています。しかし、この橋が本当の魅力を発揮するのは夕陽に包まれる瞬間。
黄金色の光が川面を照らし、橋にかかる影がゆっくりと動くその様子は、まるで時間が止まったかのよう。橋の上から見るアルノ川の眺めは、旅人たちの心に静かな感動を刻みました。
夜の街に潜む物語:ハードロックカフェ
フィレンツェの夜を締めくくる場所として選んだのは、ハードロックカフェ。
この場所は、単なるレストランではなく、音楽ファンにとって聖地とも言える空間です。
各国のハードロックカフェは訪れた以上、必ずと言ってほど立ち入るようにしています。
店内には、ジミ・ヘンドリックスやキース・リチャーズの衣装、sexpistolsのギター、さらには映画「さらば青春の光」で使用されたベスパが展示されています。
これはファンにはたまらないシリーズでした。
特にザ・フーのコーナーは、ファンにとってたまらない時間を提供してくれるものでした。
フィレンツェの夜景:忘れられない光と影
旅の最後に、街中を散策しました。ライトアップされたサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂や、石畳に反射する街灯の明かりが作り出す影が、まるで映画のワンシーンのよう。
静寂の中で響く遠くのカフェの音楽や、通り過ぎるカップルの笑い声。フィレンツェの夜は、昼間の活気とは異なる、深い情緒に満ちていました。
この街には、時間の流れを忘れさせる力があるのかもしれません。
トスカーナの風が教えてくれたもの
フィレンツェでの時間は、歴史、文化、そして自然の中で生きる喜びを改めて感じさせてくれるものでした。
ヴェネチアから始まったこのイタリア旅は、単なる移動ではなく、心の中に新たな記憶と感動を刻み込むものだったのでした。
この地を離れる際、次はいつ戻って来られるだろう、と名残惜しい気持ちを胸に、次なる冒険へと旅立ちます。
フェレンツェにてたまたま結婚式の前撮りをされていた日本人夫婦と、記念に一枚。
お互いまさか、こんなところに日本人が!って感じでしたね!お幸せに!
お次はさらに南下し、いよいよローマに向かいます。
この記事を書いた人
- 1985.11.09 滋賀⇄東京⇄滋賀
最近気になるのはChatGPT OpenAi関連… 生成Aiにはどう頑張っても勝てないのでもう考えることを辞めましたw
▪趣味:旅行 ギター 読書 キャンプ 釣りとか…
7年前に始めたBLOGも600記事を超えました。
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